令和元年度 久留米大学病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1312 786 557 906 1217 1786 3629 4474 1944 181
令和元年度の退院患者さん(16,792名の)のうち、60歳以上の患者さんが全体の60%近くを占めています。10歳未満の患者さんについても多く全体の8%を占めています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 655 4.21 2.78 0.00 73.95
020220xx97xxx0 緑内障 手術あり 片眼 321 8.38 7.53 0.31 71.66
020220xx99xxxx 緑内障 手術なし 123 2.03 3.59 0.00 65.9
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 片眼 120 12.51 9.33 0.00 53.39
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 77 9.38 6.71 0.00 68.53
白内障とは眼内の水晶体(カメラで例えるとレンズ)が濁る病気です。原因として多いものは加齢性によるもので、一般的に老人性白内障と呼ばれます。他に白内障が生じる原因としては先天性のもの、外傷・アトピーによるもの、薬剤や放射線によるのも、糖尿病など他の体の病気によるもの、眼の炎症に続いて生じるものなどが挙げられます。進行した白内障に対して手術加療を行っております。

緑内障は視神経が障害され視野が狭くなる病気です。眼の中の液体(房水)の産生量と排出量のバランスが崩れ、眼圧が異常なレベルにまで上昇して視神経が障害される場合と、眼圧の上昇は正常範囲内にとどまっているにもかかわらず、視神経がその圧に耐えられず障害される場合があります。点眼治療ではコントロールの難しい患者様に流出路再建術、濾過手術、緑内障インプラント手術などを行っております。また、 眼圧は一日のうちでも時間帯によって変動(日内変動)があります。当院では1泊2日にて眼圧日内変動検査を行うことで患者様の緑内障の病型や個々に適した治療方針を決定しております。

眼内の網膜(カメラで例えるとフィルム)には様々な疾患があります。黄斑上膜、黄斑円孔などの黄斑疾患や糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剥離、増殖硝子体網膜症、眼内炎などの網膜疾患に対して硝子体手術を行っています。緊急性のある裂孔原性網膜剥離などはできるだけ早急に手術を行うようにしています。
呼吸器・神経・膠原病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 468 2.64 3.34 0.21 70.41
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 149 7.39 9.59 2.01 67.28
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2 なし 54 10.81 18.84 11.11 70.33
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 49 13.59 15.48 8.16 60.24
040040xx99070x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 7あり 定義副傷病 なし 45 11.36 10.50 0.00 71.29
①当科は呼吸器神経膠原病内科部門で3つの科の患者が入院となります。呼吸器疾患の入院が7~8割を占めています。呼吸器疾患に関しては、肺がんなどの悪性疾患、間質性肺炎が多くを占めています。そのため、診断のための気管支鏡検査やCT下針生検などの検査は基本的に毎日施行されており、検査件数は年間400例を超えています。呼吸器検査入院期間に関しては、抗凝固剤などの有無で異なりますが基本的には1泊2日の検査です。肺がんの治療に関しては、化学放射線治療または化学療法を行っています。パスを使用し1週間程度の入院スケジュールを組んでいます。(パスに関しては放射線併用の場合は除く)。最近は、重篤な間質性肺炎治療入院も多くなっています。当科は膠原病内科と同じ部門であり、膠原病関連間質性肺炎の件数も非常に多くなっています。当科では、専門性が必要な新規抗線維化薬、ステロイドや免疫抑制剤治療を行います。ステロイド減量や酸素療法やリハビリ継続を要するケースもあるため当科の関連施設に転院する症例も少なくありません。

②全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患に関しては、ANCA関連血管炎や全身性エリテマトーデスおよび炎症性筋疾患の入院症例が主です。治療抵抗症例に対してはステロイド剤に加え免疫抑制剤投与を行っています。
心臓・血管内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 227 6.59 5.02 0.00 63.43
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 103 4.03 3.01 0.97 67.47
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1,2あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 95 6.85 4.40 3.16 71.47
050080xx99100x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 86 11.72 5.69 6.98 72.51
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1 なし、1,3あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 63 11.24 10.80 7.94 68.35
心臓・血管内科において実施している主な手術は、種々の不整脈疾患に対する「経皮的カテーテル心筋焼却術」が最も多く、次いで冠動脈疾患の治療である「経皮的冠動脈形成術」と「経皮的冠動脈ステント留置術」になります。いずれもカテーテル手術に分類されます。カテーテル手術とは、局所麻酔のもと動脈内あるいは静脈内にカテーテルを通して行う治療であり、外科的手術に比較して侵襲が少ないため、患者への負担が少なく、平均在院日数も短く治療可能であることが特徴です。「経皮的カテーテル心筋焼却術」は、不整脈を引き起こす異常な心筋の一部を、カテーテルを使って焼却し、正常な心臓のリズムを回復させる手術です。「経皮的冠動脈形成術」と「経皮的冠動脈ステント留置術」は、狭心症や心筋梗塞の原因である狭くなった心臓の血管(冠動脈)を血管の内側からバルーン(風船)やステント(金属)で拡げ、心臓の血流を回復させる治療です。さらに、内科で行う手術として、「ペースメーカー移植術」があり、これは、脈が遅くなることや正常な規則的リズムを保てなくなることによる心臓の異常がおこる不整脈に対して行われる手術で鎖骨の下の血管から心臓内部にリード線を挿入して心臓の正常なリズムを回復させます。手術後には縫合した傷の修復や、心臓内のリード線が安定するために安静が必要であり、状況により異なりますが平均約2週間の入院期間が必要です。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xx0x 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 定義副傷病 なし 159 5.56 2.63 0.00 68.47
060050xx97x00x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 109 12.94 10.25 1.83 76.84
060020xx04x0xx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 手術・処置等2 なし 95 9.94 8.27 0.00 73.75
060050xx0300xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 89 9.45 8.03 2.25 76.54
06007xxx9910xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 66 4.50 4.80 0.00 67.86
小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 定義副傷病 なし」は、小腸や大腸の非悪性腫瘍を内視鏡を用いて焼切る治療を受けるために入院された患者さんです。

「肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。)その他の手術あり 手術・処置等2 なし定義副傷病 なし」は、肝内の悪性腫瘍を栄養している血管に対しカテーテルを挿入し、塞栓物質を投与して血流を遮断させ、がんを死滅させる治療を受けるために入院された患者さんです。

「胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 手術・処置等2 なし」は、胃がんや胃、十二指腸のポリープを内視鏡を用いて焼切る治療を受けるために入院された患者さんです。

「肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。)肝悪性腫瘍 ラジオ波焼灼療法(一連として)等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし」は、超音波(エコー)で観察しながら皮膚を通して肝内の悪性腫瘍に対して針を刺し、針につながれた機械を通じて高周波を発生させ、熱により腫瘍を死滅させる治療をするために入院された患者さんです。

「膵臓、脾臓の腫瘍 手術 なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし」は、膵臓がんなどによって膵液が十二指腸に流れなくなるため、開腹手術をせずに、内視鏡を用いてたまった膵液を排出できるよう、膵管にチューブを入れたりステントを入れたりして治療するために入院された患者さんです。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 57 10.47 6.17 0.00 0.00
14029xxx97x0xx 動脈管開存症、心房中隔欠損症 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 53 6.00 6.02 0.00 7.77
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 49 4.43 7.10 0.00 6.59
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 47 17.64 11.16 0.00 0.00
100260xx9910xx 下垂体機能亢進症 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 37 4.24 6.33 2.70 6.84
当科においては14の専門分野のスペシャリストが小児の内科的疾患を幅広く診療していることが特徴です。中でも循環器グループにおいては、動脈管開存症、心房中隔欠損症等のカテーテル治療の症例数が非常に多く、低侵襲の治療を可能にしております。川崎病は、難治例の治療経験も豊かです。新生児グループは、総合周産期母子医療センターを有しており、早産に伴う2500g未満の低出生体重児を数多く治療しています。神経グループでは初発のてんかんからWest症候群など難治性てんかんの患者さんを多く診ています。治療は抗てんかん薬の調整、ACTH療法、ケトン食療法、てんかん外科への適切な紹介を行っています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991x0x 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 定義副傷病 なし 153 2.39 2.49 0.00 71.59
110070xx02020x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 75 9.47 7.25 0.00 76.04
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 65 10.71 7.07 1.54 74.18
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 59 15.59 12.18 0.00 69.85
110080xx9907xx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 7あり 52 4.06 4.06 0.00 69.75
尿路結石や泌尿器悪性腫瘍(腎がん、腎盂・尿管がん、膀胱がん、前立腺がん)に対する治療症例が多いのが特徴です。当院では尿路結石に対するレーザー破砕術を初期より導入しており、多くの症例に対する治療を経験しています。高齢化に伴い、泌尿器悪性腫瘍の罹患数は年々増加しています。当院では前立腺がんや腎がんに対するロボット支援下手術ならびに鏡視下手術、前立腺がんに対する密封小線源治療を実施しており、臓器機能温存や早期の社会復帰を重視した低侵襲な治療を提供することに努めています。
耳鼻いんこう科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 111 7.53 7.85 0.90 43.23
03001xxx99x4xx 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 71 20.48 12.38 1.41 66.03
03001xxx01000x 頭頸部悪性腫瘍 頸部悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 62 13.87 13.11 0.00 70.74
100020xx010xxx 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術 切除等 手術・処置等1 なし 50 14.36 8.44 2.00 63.30
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 49 8.53 7.24 0.00 54.63
※院内では、「耳鼻咽喉科・頭頸部外科」の名称としています。

入院患者さんのうち最も多い病気は慢性中耳炎と中耳真珠腫で、鼓室形成術を行っています。
従来の手術と比べて、切開を必要としない耳内からの内視鏡下の低侵襲手術が増え、在院日数が短くなりました。頭頸部悪性腫瘍に対しては化学療法が多く施行されています。
これは進行した頭頸部悪性腫瘍に対して導入化学療法を行い、その効果をみて手術、あるいは化学放射線治療を行う症例が増加したことと、頭頸部悪性腫瘍の再発症例に化学療法を行う症例が増えた2つの理由があります。
頭頸部悪性腫瘍、頸部悪性腫瘍への手術も同様に、早期では内視鏡下の低侵襲手術を行い、在院日数が短くなりました。進行した頭頸部悪性腫瘍でも、導入化学療法が奏功した症例では手術ではなく、臓器と機能を温存した化学放射線療法を数多く行っています。進行した頭頸部悪性腫瘍に対する拡大切除と再建を要する手術は減少傾向にあります。
化学放射線治療後の症例では治療後の回復を目的に転院が必要な症例がわずかながら見受けられます。また、耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍に対しても積極的に手術を行っています。
全体では自宅退院できる患者さんがほとんどです。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 201 4.07 4.58 0.00 59.26
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 手術・処置等2 なし 128 3.09 3.13 0.00 36.74
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 81 15.49 12.29 1.23 58.74
120010xx99x50x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 5あり 定義副傷病 なし 49 4.02 4.39 0.00 62.16
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 43 5.74 6.21 0.00 41.93
当科には筑後地区全体から多くの患者さんが紹介されてきます。子宮頸・体部の悪性腫瘍とは子宮頸がん、子宮体がんのことです。手術の適応のある患者さんには手術療法を行いますし、子宮頸がんの手術適応のない患者さんには放射線治療(抗がん剤を併用した)や抗がん剤による化学療法が行われます。手術後に再発リスクの高いと判断された患者さんには放射線治療や化学療法を追加する場合があります。子宮体がんには手術療法の他、化学療法が行われます。卵巣腫瘍には手術療法が行われますが、良性腫瘍には腹腔鏡手術や卵巣機能を温存する手術も選択できます。年齢や患者さんの背景により最良の術式を選択します。卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍とは卵巣、卵管、腹膜癌のことを表します。手術療法に加え、多くの場合は化学療法を行います。化学療法は点滴を2-3週間隔で繰り返し行い、全体では数か月かかりますが、点滴治療の期間のみ数日間の入院、あるいは外来での治療も可能であり、患者さんと相談をしながら方針を決めています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 142 17.89 16.54 74.65 69.57
070341xx020xxx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等1 なし 57 21.07 20.26 84.21 67.91
070343xx01x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等2 なし 48 18.83 20.93 79.17 66.75
070010xx010x0x 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術等 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 40 7.88 5.41 2.50 50.43
180060xx97xxxx その他の新生物 手術あり 35 12.20 6.39 5.71 31.91
脊椎疾患(腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア、頚髄症など)の件数が非常に多くなっています。診断や治療方針を決定するために短期間入院の上、必要に応じてブロック療法や脊髄造影検査などを行うことがあります。手術を受けるために入院した場合、病状や経過にもよりますが、入院期間はおおよそ2~3週間です。その後は連携病院に転院して、リハビリテーションを受けていただくことになります。
良性軟部腫瘍は四肢体幹の皮下、筋肉、神経内に発生する腫瘍です。専門性の高い疾患ですので大学病院などの専門医のいる施設への受診が必要です。切除することで治癒が期待できますが、まれに再発をきたす例もみられます。最も多い組織型は脂肪腫で、皮下もしくは筋層内に発生します。切除後の創部状態が良好であれば、早期に自宅退院が可能です。また、同部位の悪性腫瘍、がんの転移の患者さんも増加傾向にあり、がん拠点病院として、他診療科との協力の下、知恵用を実施しています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし 87 4.10 3.01 1.15 63.77
010010xx01x00x 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 51 25.84 21.14 15.69 54.14
010030xx03x00x 未破裂脳動脈瘤 脳血管内手術 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 38 14.26 9.24 0.00 63.29
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 20 18.25 18.81 20.00 49.05
070341xx020xxx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等1 なし 17 23.29 20.26 47.06 68.76
多岐にわたる脳神経外科疾患の中でも脳血管障害、脳腫瘍、脊髄・脊椎疾患に対する治療を多く行っております。
クモ膜下出血の原因である脳動脈瘤に対する治療は日々進歩しており、多くの症例で開頭せずにカテーテルで治療することが可能となっております。これは患者さんにとって非侵襲的な治療ですが、動脈瘤の大きさや形、部位によっては開頭クリッピング術のほうが安全に治療できる場合もあります。未破裂脳動脈瘤の患者さんでは脳血管撮影検査を行った上で、それぞれの治療の利点・欠点を評価した上で治療方法を選択していただいておりますが選択の基準にはそれぞれの患者さんにとってベストな治療法がなにかということを重視しています。
脳腫瘍では組織分類別に最善な治療法が異なります。手術が必要な患者さんには最新のmodalityを用いた安全かつ効果的な摘出術を提供する一方で、手術ではなく放射線・化学療法などの治療を中心に行うほうが安全かつ効果的な疾患も多く存在します。
脊椎は頸椎、腰椎を問わず体を支え、脊髄および神経を保護しながら全身の運動・感覚情報を出入力する重要な部位です。高齢者では脳に限らず脊髄が進行する歩行障害やしびれの原因となっていることがあり、正確な診断と適切な治療が求められますが、この領域もカバーしております。
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035xx01000x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 63 18.02 15.02 4.76 70.22
060020xx02x00x 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 59 18.17 16.12 6.78 70.66
060050xx02x01x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 肝切除術 部分切除等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 あり 46 21.07 21.94 4.35% 71.43
060010xx99x41x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 あり 36 24.50 16.74 0.00 66.94
060040xx02000x 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 肛門悪性腫瘍手術 切除等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 30 18.37 15.48 0.00 66.47
※院内では、「食道外科」、「胃大腸外科」、「肝胆膵外科」の名称としています。

【胃大腸外科】
胃疾患手術では、胃癌に対する胃切除術(幽門側胃切除術、胃全摘術、噴門側胃切除術)を多く行なっています。その他の悪性腫瘍に対する胃切除術も含めると,毎年100例を越える胃切除術を行なっています。
各疾患の治療ガイドラインを基本として一人一人の患者さんに応じた適切な治療法をご本人やご家族と話し合いながら選択しています。
手術は侵襲の少ない鏡視下手術を積極的に行っています。約8割の症例は腹腔鏡や手術支援ロボット支援下の胃切除術です。開腹手術に比べ出血量や術後疼痛が少なく術後在院日数も短くなっています。
患者さんは手術の2〜5日前に入院し、手術後は2〜3週間で退院されます。退院前にはご家族とともに食事の取り方の指導を受けていただき、ほとんどの方は直接ご自宅に退院されています。

【食道外科】
食道疾患全般への手術療法を行っています。食道癌に対してはこれまで開胸による切除術を行って参りましたが、2020年1月から胸腔鏡下切除術を導入しました。従来の開胸術と比べ患者さんへの侵襲も軽いことが特徴です。
また、術前および術後補助化学療法や切除不能高度進行癌への化学放射線療法や良性疾患(食道裂孔ヘルニア、食道アカラシア、特発性食道破裂など)への手術も積極的に行っています。

【肝胆膵外科】
肝・肝内胆管の悪性腫瘍に対する肝切除は、令和元年度には97例に行っています。そのうち腹腔鏡による切除を46例に行っています。腹腔鏡による手術は、身体的負担が少なく早期退院、早期の社会復帰が可能となります。肝切除における腹腔鏡手術には適応に制約がありますが、当科では積極的に腹腔鏡切除を行っています。また、当初は切除ができないような進行がんに対しても化学療法などを先行してがんの大きさや悪性度を減じた後に根治切除を行うなどの集学的治療にも積極的に取り組んでいます。



腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 102 10.48 11.67 0.00 58.58
110280xx99020x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし 60 6.00 8.99 0.00 65.95
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1 あり 定義副傷病 なし 47 8.66 7.00 0.00 55.49
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 37 18.95 8.48 2.70 71.62
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2 なし 17 31.29 20.93 5.88 51.12
腎臓は血液や老廃物の循環を整える大切な臓器です。腎臓病は腎臓に生じた炎症によって引き起こされる腎炎(糸球体腎炎と尿細管・間質性腎炎)と、糖尿病や高血圧などの全身の病気により障害を起こすものがあります。慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease 通称:CKD)とは、そんな腎臓の機能が恒常的に低下してしまう病気です。日本国内の潜在患者は1300万人以上もいると言われています。
1番目は腎機能が低下した患者さんに対して、それ以上進行しないように食事療法や薬物療法などについての理解を深めるための教育入院です。また中等度~末期に病期が進行した患者さんには腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)の説明や見学なども行います。7~10日前後の入院期間中に原疾患の評価、合併症評価、体液管理なども行います。ご家族、医師、スタッフと話し合いを重ね、腎代替療法についての選択を行い今後の方針についても決定していきます。その他、合併症(体液過剰や感染症、電解質異常など)などでの予期せぬ入院管理も行います。また腎炎の代表格であるIgA腎症を有する患者さんに対するステロイド点滴治療(2泊3日)も含まれます。
2番目は腹膜透析検査入院です。当院では2泊3日入院のうえ腹膜平衡試験(腹膜機能を評価)、アデクエストテスト(透析効率、残腎機能をみる検査)を行います。また入院中に患者さんの手技確認なども行っています。腹膜の状態は一人ひとり異なり、腹膜透析を続けている期間によって変化するため、腹膜や残った腎臓の機能を定期的に評価することが必要です。腹膜透析を行うための機能は十分か、期間ごとにどのように変化しているのかを評価し、十分な透析ができているか、腹膜休息が必要でないか、また血液透析の併用を含めた透析治療への移行を検討するのに役立てます。
3番目は血尿や蛋白尿が出現する慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群などを合併した慢性腎臓病患者さんに対する経皮的腎生検目的の入院です。確定診断をつけて、治療方針を決めていきます。検査だけであれば5日~7日の入院で、結果や治療方針の説明については後日外来で行うこともできます。
4番目は透析を受けていない慢性腎臓病や血液透析施行中の患者さんのシャント造設入院です。透析導入に必要なシャントの造設術を施行したり、透析中のシャントトラブルの対応も行っております。
5番目は尿蛋白が多量に排出されるネフローゼ症候群を発症した患者さんに対する、精査や方針検討のための入院です。合併症がないか全身精査を行ったり、ステロイド加療の有無について方針を検討し加療を行います。
産科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120260xx01xxxx 分娩の異常 子宮破裂手術等 60 10.28 9.53 0.00 32.47
120260xx99xxxx 分娩の異常 手術なし 46 8.11 4.75 0.00 32.96
120170xx01x0xx 早産、切迫早産 子宮破裂手術等 手術・処置等2 なし 45 24.40 29.08 0.00 33.09
120200xx99xxxx 妊娠中の糖尿病 手術なし 32 7.63 5.59 0.00 34.59
120170xx99x0xx 早産、切迫早産 手術なし 手術・処置等2 なし 23 25.87 19.06 4.35 30.35
妊婦さんの中には、分娩予定日よりかなり早い時期に出産(早産)される方、あるいはその恐れのある(切迫早産)の方、出産年齢の高い方、双子の赤ちゃんを妊娠している方、糖尿病、高血圧症などの様々な内科的疾患をもっておられる方等を、ハイリスク妊婦と言い、通常(ローリスク)妊婦と異なり、妊娠、分娩中に、様々な管理や医療介入が必要となります。
当院は、高次周産期医療施設として、このようなハイリスク妊婦さんを中心に医療を行っています。とりわけ、当施設で力を入れているのが、妊娠糖尿病です。妊娠糖尿病とは、妊娠中にのみ糖尿病と同じような病態を示すもので、近年妊婦さんの高齢化と相まって次第に増加しています。また、早産については、近年その予知あるいは予測をすることが可能となり、早産に至る前の切迫早産の状態で、手術(頸管縫縮術)や子宮収縮抑制剤の投与等の入院管理を行い、早産を回避することも可能となってきました。
 赤ちゃんは、狭い母体の産道を通過して生まれてきます。赤ちゃんと産道は、ねじとねじ穴に例えることができます。出産に長時間を要する難産の原因として1)ねじがねじ穴にきちんとはまっていない(児頭の回旋異常)、2)ねじが固い(軟産道強靭)、ねじを回す力が弱い(微弱陣痛)の3つがあります。1)あるいは2)の場合は、最初から帝王切開を行う(選択的帝王切開)(K8982)ことがあります。一方、出産の経過中に、低酸素状態等が原因で赤ちゃんの心拍が低下する場合も帝王切開(緊急帝王切開)となります(K8981)し、赤ちゃんの頭が産道の出口付近に達している場合、吸引娩出術(K893)といって、赤ちゃんの頭に吸引カップと呼ばれる器械を装着し、出産になることもあります。
 近年、当施設を含め、帝王切開による出産が増加する傾向にあります。妊婦さんが帝王切開を行い、次に妊娠した場合、前回子宮を切開した場所が脆弱化することがあります。そのような場合、陣痛がおきると脆弱化した部位が破れる(子宮破裂)可能性があります。このため、帝王切開を経験した多くの妊婦さんは、次回以降帝王切開を選択することが多くなっています。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050030xx97000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 その他の手術あり 手術・処置等1 なし、1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 26 6.85 12.37 84.62 71.31
180010x0xxx3xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2 3あり 21 48.00 38.85 57.14 70.14
130100xxxxx4xx 播種性血管内凝固症候群 手術・処置等2 4あり 17 30.12 28.84 94.12 71.47
050161xx99000x 解離性大動脈瘤 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 12 10.08 17.34 100.00 67.58
180010x0xxx2xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2 2あり - - 33.26 - -
※院内では、「高度救命救急センター」の名称としています。

高度救命救急センターでは、内因性、外因性を問わず、緊急治療を必要とする重篤な救急患者を受け入れています。心筋梗塞を代表とする冠動脈疾患や急性大動脈解離などの心・大血管疾患、ショックや臓器障害を伴った重症感染症(敗血症)症例、何らかの原疾患のために止血凝固能の異常を呈す播種性血管内凝固症候群など、様々な重篤な症例の治療を行っています。これらの症例に対して、内科的・外科的な根治的な治療を行うとともに、合併するショックや臓器障害に対して集中治療を行っています。
血液・腫瘍内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 74 17.26 15.79 9.46 65.96
130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 45 28.87 31.30 8.89 67.00
130030xx99x30x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2 3あり 定義副傷病 なし 37 15.27 16.50 5.41 68.59
130030xx97x3xx 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等2 3あり 17 28.29 32.20 0.00 65.88
130040xx99x5xx 多発性骨髄腫、免疫系悪性新生物 手術なし 手術・処置等2 5あり 17 19.00 22.79 0.00 65.71
悪性リンパ腫は、リンパ節のがんで、比較的ご高齢の方に、多い病気です。日本の高齢化に伴い、患者さんは増加しています。悪性リンパ腫のなかに、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫があり、非ホジキンリンパ腫のほうが、患者さんが多いとされます。悪性リンパ腫は、抗がん剤、放射線治療が良く効く代表的ながんです。当院では、治療導入は入院で行い、副作用の程度を評価した後は、外来化学療法を行うことで、患者さんのQOLに配慮した治療を行っています。

多発性骨髄腫は、M蛋白を作る異常な形質細胞のがんです。高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨の異常、など多彩な症状があります。この病気は、ご高齢の方に多い病気です。当院では、患者さん一人一人の合併症などに十分配慮して、適切な治療を行うようにしています。
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060020xx99x30x 胃の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 3あり 定義副傷病 なし 24 8.04 6.39 0.00 62.88
060035xx99x50x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 5あり 定義副傷病 なし 14 8.29 4.26 0.00 56.43
03001xxx99x4xx 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 11 6.73 12.38 0.00 53.27
06007xxx97x50x 膵臓、脾臓の腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2 5あり 定義副傷病 なし 11 12.36 21.63 0.00 67.27
060020xx99x70x 胃の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 7あり 定義副傷病 なし - - 7.06 - -
※院内では、「がん集学治療センター」の名称としています。

膵臓、大腸、胃などには、癌が発生することがあります。早期発見して、早期に手術することが最も望ましいとされますが、実際には進行して見つかり、手術が出来ないこともあります。そのような場合、癌の種類に応じて、最も効果があり、最も副作用の少ない抗がん剤を選択して、患者さんの治療を行っています。
心臓・血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx01010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 56 25.09 23.77 58.93 74.21
050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 32 23.47 22.71 59.38 70.56
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 31 2.00 2.78 0.00 67.00
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2 なし 27 15.96 11.75 7.41 76.96
050161xx97x10x 解離性大動脈瘤 その他の手術あり 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 21 25.95 27.88 71.43 66.05
当院では弁膜症、虚血性疾患、大動脈疾患など、心臓血管外科手術の全ての手術に対応可能です。24時間対応可能なオンコール体制を確立しており、緊急症例にも対応しております。また大動脈瘤に対するステント治療、大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁植え込み術、下肢静脈瘤に対するレーザー治療などの低侵襲治療も積極的に行っています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2 なし 45 3.04 3.10 0.00 63.58
080180xx99xxxx 母斑、母斑症 手術なし 36 2.97 3.92 0.00 6.14
020320xx97xxxx 眼瞼、涙器、眼窩の疾患 手術あり 30 3.50 3.27 0.00 24.10
140190xx97xxxx 小耳症・耳介異常・外耳道閉鎖 手術あり 21 10.00 12.77 0.00 12.24
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 14 6.00 5.26 0.00 37.43
※院内では、「形成外科・顎顔面外科」の名称としています。

当科は特殊外来として血管腫外来を行っており、血管腫が増加しています。硬化療法や手術、レーザー治療と治療法を選択しながら積極的に治療を行っています。またレーザー外来も行っており、先天性母斑症、太田母斑、異所性蒙古斑、扁平母斑等の母斑症や単純性血管腫、いちご状血管腫等の血管腫も多く、積極的にレーザー治療を行っております。高齢化に伴い、眼瞼下垂や睫毛内反および眼瞼内反など眼瞼のたるみによる眼瞼周囲の症例も多く、積極的に手術を行っています。また当科では小耳症等の耳介の先天性疾患、手足の先天性疾患の手術も増えています。顔面骨骨折を含む顔面損傷も最近増加しており、緊急手術での治療を行っております。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし 78 10.35 7.90 1.28 73.36
080190xxxxxxxx 脱毛症 17 3.00 3.44 0.00 35.65
03001xxx99x4xx 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 4あり 16 19.63 12.38 0.00 69.50
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1 なし 15 6.47 4.01 0.00 44.40
180060xx97xxxx その他の新生物 手術あり 14 6.21 6.39 0.00 40.21
皮膚科は皮膚科全般に関する診療を行っています。入院症例に関しては、有棘細胞癌、基底細胞癌や悪性黒色腫を含めた皮膚悪性腫瘍の患者さんが最も多く、脱毛症、皮膚良性腫瘍の件数が上位を占めています。皮膚悪性腫瘍、皮膚良性腫瘍の手術加療目的に入院される患者さんが多いです。また皮膚悪性腫瘍に対して抗癌剤治療や放射線治療のため入院される患者さんもいます。円形脱毛症の重症型である全頭脱毛症や汎発性脱毛症に対して副腎皮質ホルモン大量療法を入院で行っており、回復する可能性が高くなるとの報告があります。
小児外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x101xxxx 鼠径ヘルニア(15歳未満) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 40 3.03 2.81 0.00 4.28
060130xx99000x 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 35 6.94 7.42 2.86 11.26
140590xx97xxxx 停留精巣 手術あり 20 3.25 3.13 0.00 2.70
060130xx02000x 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患) 内視鏡的消化管止血術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 17 8.82 8.73 0.00 1.35
070590xx99x0xx 血管腫、リンパ管腫 手術なし 手術・処置等2 なし 15 2.13 5.94 0.00 3.13
当科では通常の鼡径ヘルニア根治術に加え、腹腔鏡下での鼡径ヘルニア根治術(女児)や停留精巣に対する精巣固定術、臍ヘルニア根治術などの症例を多く取り扱っております。また当科の特色として近隣の重症心身障碍児施設からの胃食道逆流症の検査入院、直腸肛門奇形やヒルシュスプルング病に対する直腸肛門内圧検査などの消化管機能検査のための検査入院を行っています。
放射線科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070590xx97x0xx 血管腫、リンパ管腫 手術あり 手術・処置等2 なし 36 2.50 6.80 0.00 27.94
130030xx97x00x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 26 2.04 8.36 0.00 66.27
070040xx99x2xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く。) 手術なし 手術・処置等2 2あり 19 15.63 22.54 31.58 71.68
100180xx991xxx 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 16 3.38 3.80 0.00 59.38
090010xx99x2xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 2あり 14 28.14 29.20 7.14 67.14
放射線科は大きく分けて診断と治療に分かれています。診断部門は主に画像下治療(IVR:Interventional Radiology)と消化管検査を担い、治療部門はあらゆる悪性腫瘍に対する根治的もしくは緩和的治療を、それぞれ各科と協力・連携しながら行っております。また、脊椎圧迫骨折に対する経皮的骨形成術も施行しております。血管腫、血管奇形に対する画像下治療を行なっています。形成外科、放射線科の集学的治療が必要であり、治療の種類によって形成外科病棟入院、放射線科病棟入院が決定されます。短期間の入院で治療できるメリットがあります。
入院時の疾患別では、放射線治療としては転移性骨腫瘍、転移性脳腫瘍、乳がん、肺がんに対する根治的/緩和照射が多く、画像下治療として、子宮筋腫、静脈奇形、動静脈奇形、外傷による出血、腫瘍、血管奇形、動脈瘤などからの出血、消化管出血、喀血、難治性鼻出血、産科出血、術後出血、圧迫骨折など多岐に渡り施行しております。 
内分泌代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100180xx990x0x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 32 14.34 6.24 3.13 59.06
100070xx99x000 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 85歳未満 23 19.65 10.84 0.00 52.91
100070xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 85歳未満 19 22.11 13.72 0.00 62.42
100180xx991xxx 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 15 5.00 3.80 0.00 58.07
100120xx99xxxx 肥満症 手術なし 11 24.45 15.16 0.00 42.73
当科では糖尿病や内分泌疾患の診断と治療を行なっています。
糖尿病は、膵臓からの分泌されるインスリンの作用不足により血糖値が高くなる病気です。長期間放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞、脳卒中、足の壊疽などの合併症を引き起こし、また網膜症、腎症から失明や透析に至る怖い病気です。2型糖尿病は食べ過ぎや運動不足などが原因の生活習慣病として知られていますが、なかにはインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が免疫機序により破壊される1型糖尿病もあります。治療薬の選択肢も増えており、インスリンポンプや持続血糖測定等を用いた先進的な治療も行っています。きちんと通院し治療を受けることで、合併症を予防し、健康な生活を送ることができます。

内分泌疾患とは主にホルモンの分泌に異常をきたす病気の総称です。血液中に分泌されるホルモンは、体の調子を整える作用があります。全身のホルモンの司令塔である下垂体のホルモンが不足すると、体の疲れや食欲の低下などの症状を引き起こします。ホルモンが不足しているかどうかは負荷試験という血液や尿の検査を行なって判断します。不足しているホルモンは、飲み薬や注射などで補充することができ、それにより症状の改善がみられます。逆に下垂体にホルモン産生腫瘍ができ、そのホルモン作用が過剰になる病気もあります。例えば先端巨大症という病気は成長ホルモン産生腫瘍が原因で、手足や下顎が大きくなったりします。早く診断して、手術やお薬で治療する必要があります。ホルモン産生臓器の一つに副腎があります。副腎はストレスに対抗するホルモンを分泌しています。そのため、副腎の機能が低下すると、倦怠感や食欲低下が見られ、発熱などのストレスが加わると、血圧低下や意識消失など、命に関わる症状が見られることもあります。副腎には腫瘍も多くみられます。腫瘍自体がホルモンを産生しているものから、ホルモン産生はなくても腫瘍による圧迫により機能低下症をきたすものもあります。これまで、ホルモン産生腫瘍は症状が進行してから発見されることがほとんどでしたが、最近の画像診断の普及により、症状が出ないうちに見つかる腫瘍も増えてきました。
検診で異常をいわれた方、症状のある方は早めに病院を受診し検査を受けて下さい。
精神神経科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1 あり 162 2.00 2.03 0.00 48.47
010300xxxxxxxx 睡眠障害 51 2.00 4.03 0.00 25.61
010010xx01x3xx 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等2 3あり - - 50.58 - -
010230xx99x11x てんかん 手術なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 あり - - 25.26 - -
070343xx99x00x 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし - - 12.16 - -
当院では統合失調症や気分障害をはじめとした種々の精神疾患の加療をおこなっています。当院の特徴に、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーといった睡眠障害やてんかん専門外来があります。日本睡眠学会の専門医療機関に認定されているため、不眠、過眠、睡眠時の異常行動や無呼吸などの睡眠障害の精査加療を目的として、県内外より多くの方が当院を訪れ、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)や反復睡眠潜時検査(MSLT)等を多く実施しています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2 なし 130 13.55 11.51 1.54 68.55
040010xx01x0xx 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍 縦隔悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし - - 9.75 - -
040040xx97x4xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2 4あり - - 23.13 - -
040010xx97x0xx 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2 なし - - 8.95 - -
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2 なし - - 18.84 - -
当科で扱う主な疾患は原発性肺癌、転移性肺腫瘍、良性肺腫瘍、縦隔疾患、気胸、膿胸、胸壁腫瘍、中枢気道狭窄症などです。当院では呼吸器病センターの中に呼吸器外科、呼吸器内科、放射線科があり、毎週これらの科で合同カンファランスを行って治療方針を検討しています。特に肺癌の治療では手術、化学療法(抗がん剤)、放射線療法などを組み見合わせた集学的治療が必要であり複数の科で検討会を設けることが大切です。
肺癌に対する手術方法は症例によって最も適したアプローチ方法を選択します。特に胸腔鏡下手術に力を入れています。ほかに開胸手術、ロボット支援下手術も積極的に行っています。
呼吸器外科専門外来を月曜日~金曜日まで毎日行っています。当日受診も可能な限り受け入れています。時間帯・混み具合・学会時期などで変動がありますので、地域医療連携室へご連絡頂ければ受診予約がスムーズにできます。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等2 なし 53 11.68 10.34 3.77 62.91
090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 手術・処置等2 なし 20 7.05 6.10 0.00 63.95
090020xx97xxxx 乳房の良性腫瘍 手術あり 15 2.93 3.94 0.00 50.33
090010xx97x0xx 乳房の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 10 2.70 6.48 0.00 51.10
070041xx97x00x 軟部の悪性腫瘍(脊髄を除く。) その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし - - 9.74 - -
※院内では、「乳腺・内分泌外科」の名称としています。

当院で行われた「乳腺悪性腫瘍:乳がん」に対する標準的手術として、上記の診断群分類別患者数表の中に示しているように、『090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術』が、最も多く53例を行いました。この中には手術の方法として以下の2種類が含まれます。
①胸筋温存乳房全切除術:乳房全てとわきの下のリンパ節を一部のみ摘出(センチネルリンパ節生検)あるいはわきのリンパ全てを摘出(腋窩リンパ節郭清)します。場合によっては、胸の筋肉の一部分を切り離すこともあります。②単純乳房全切除術は、乳房を全て摘出しますが、わきの下のリンパ節は摘出しない方法です。
『090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除 腋窩郭清を伴わないもの』は、③乳房温存術とも言いますが、20症例を行いました。手術方法として乳頭は残し、しこりを含めた乳房の一部分を切除する方法です。わきのリンパ節は一部のみ摘出(センチネルリンパ節生検)します。通常乳房温存術後には術側の残った乳房に対して放射線治療を行うことにより、乳房全摘と同等の治療成績が得られます。
以上の三つの術式が当院での最も一般的な乳がんの手術方法です。在院日数は③乳房温存術が平均7.05日で最も短く、乳房全切除術、特に同時乳房再建術を行う場合は平均約11.68日とやや長い入院が必要となります。
その他の手術として、乳がんの局所再発やリンパ節再発、良性腫瘍などに対し、摘出術を行って、1泊2日短期入院となります。術後の転院率は低く、ほとんどの患者さんが直接自宅退院できています。自宅での日常生活がリハビリになりますので、早期に社会復帰ができることが乳がん手術の特徴です。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 68 25 29 30 103 49 1 8,7,6
大腸癌 49 48 66 28 52 100 1 8,7,6
乳癌 36 38 - - 10 13 1 8,7,6
肺癌 93 48 183 344 430 34 1 8,7,6
肝癌 64 67 65 17 56 207 1 8,7,6
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【胃癌】胃癌治療ガイドラインを基本とし、本人やご家族と話し合いながら治療法を選択しています。胃癌も早期の段階で、みつかる症例が増えており、StageI胃癌のうちの一部の症例にはEMR(内視鏡的粘膜切除術)やESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)などの内視鏡的治療が行われます。しかし、内視鏡的治療で非根治切除となった症例や適応とならなかった症例には、胃切除術が行われます。StageII・III胃癌に対しては胃切除術を行い、症例により術後の補助化学療法を行います。これらの症例に対しでも腹腔鏡下に胃切除術を行っています。StageIV胃癌や再発症例に対しては原則的に手術は行わず、化学療法を行っています。

【大腸癌】大腸癌の初発症例の治療としては手術での治療が主流です。手術のアプローチ方法の一つとして腹腔鏡手術が導入され、患者さんの術後の疼痛が少なく回復が早くなるという低侵襲手術が主流となっていますが、症例によっては開腹手術を行うなど、患者さんにとってよりより手術術式を選択しています。また、当院消化器内科ではStage Iのうち大腸内視鏡を利用して内視鏡的に癌を切除(リンパ節郭清術の必要がない早期癌症例)することも行っています。この治療方法は内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や内視鏡的粘膜切除術(EMD)と呼ばれており、これも低侵襲治療となり患者さんに福音となっています。また、Stage IV症例のなかで切除できない症例や再発症例などに対し患者さんの病状に応じて、化学療法や放射線治療を積極的に実施し集学的で個別的な治療を行っています。

【乳癌】
近年、乳がんに対する社会認知が高まり、検診によって発見される症例も増えてきています,そのため、手術可能なstage I-IIの早期症例が多くなり、stageIII-IVの進行症例が減少傾向にあり、今もその傾向が続いています。当院の乳癌患者も同様にstage I-IIの早期症例は2/3以上を占めています。外科的治療法などについては前述をご参照ください。当院の乳癌進行(stageIII-IV)乳がんや再発患者さんに対しては、抗がん剤などによる化学療法の後に、がんの局所出血や皮膚潰瘍などをコントロールするために行われます。乳がんに対する集学的治療の一環です。

【肝癌】
上記統計は久留米大学病院における原発性肝癌(肝細胞癌、肝内胆管癌)例数です。原発性肝がんの治療には切除、ラジオ波焼灼術、肝動脈塞栓術、肝動注、放射線治療、肝移植などがありますが、多くの方はB型やC型ウイルス性肝炎、脂肪肝、アルコール性肝炎などの慢性の肝障害を合併しており、がんの進行程度と肝機能障害の程度のバランスをとりながら適切な治療法が選択されます。Stageが進行してくると複数の治療を併用していく集学的治療を行う場合もありますが、その成績も年々向上しております。一方で、原発性肝癌は初発がんを根治的に治療しても、肝移植以外での治療では発がん母地となる慢性的に障害された肝臓は残ることになり、再度新たながんができることが多く、再発率が高率になります。しかしながら、再発を早期に発見できれば、再度根治治療ができ長期生存が可能となります。ウイルス性肝炎を合併している場合は、抗ウイルス治療により再発率や肝障害の進行を抑えることが可能となります。このように原発性肝がんにおいては治療後も綿密な経過観察や状況に応じた適切な治療が大事です。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 13 14.54 52.69
中等症 35 14.63 61.14
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -
元来、当院の呼吸器の入院は肺がんと間質性肺炎が多くを占めます。肺炎に関しての入院では、肺がん、COPD、間質性肺炎や気管支拡張症などの基礎疾患を有することが多くなっています。当院は市中病院やクリニックと異なり超高齢者や若年者の症例は少ない傾向にあります。入院になる症例は、呼吸器疾患の基礎疾患ばかりではなく、糖尿病や循環器疾患で通院している症例も多くなっています。入院になる症例は、比較的全身状態は良好ですが、呼吸器基礎疾患によって酸素飽和度の低下を認めるケースや併存症のコントロールが必要な場合があります。このような理由で、中等度の肺炎での入院の頻度が高く、入院も2週間前後となります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 60 23.98 72.53 45.21
その他 13 30.23 59.54 8.22
当院では随時脳卒中患者を受け入れておりますが、重症度によって脳神経外科病棟か救命センターいずれかで対応しております。どちらも脳神経外科専門医が常駐していて、患者さんの状態に合わせた集中治療を提供しております。特に脳梗塞においては発症からどれくらいの時間で治療開始できるかが重要であり、適応を満たせばt-PA治療のみならず血管内治療による血栓回収療法を積極的に行い、患者さんの予後改善に努めています。
また無症状でも頚部内頸動脈の狭窄は動脈硬化を背景に進行し、重篤な脳梗塞の原因になる可能性があります。この病変に対して十分な評価を行い、必要性に応じてステント留置術などの血管形成術を行うことで脳梗塞発症のリスクを減らすことにも務めています。
もやもや病は若年に発症する稀な脳血管の閉塞・狭窄を来す疾患ですが、当科の専門領域であることもあって患者数は多く十分なノウハウがありますので、この疾患に対しても最善の治療を提供できると思います。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 686 1.09 2.09 0.15 73.78
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 等 243 0.88 9.07 0.41 62.8
K2682 緑内障手術(流出路再建術) 133 0.98 5.23 0.00 70.37
K2683 緑内障手術(濾過手術) 67 1.54 11.00 1.49 71.58
K2821イ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(縫着レンズ挿入) 52 1.25 5.15 0.00 74.15
白内障とは眼内の水晶体(カメラで例えるとレンズ)が濁る病気です。原因として多いものは加齢性によるもので、一般的に老人性白内障と呼ばれます。他に白内障が生じる原因としては先天性のもの、外傷・アトピーによるもの、薬剤や放射線によるのも、糖尿病など他の体の病気によるもの、眼の炎症に続いて生じるものなどが挙げられます。進行した白内障に対しての治療は手術となります。白内障の手術は濁った水晶体の中身を取り除き、同部位に眼内レンズを挿入する方法(Kコード:K2821 ロ)が一般的に行われいています。ただし水晶体の支えが弱い場合などは眼内レンズを眼内で縫いつけて固定する方法(K282 イ)を行う事があります。

眼内の網膜(カメラで例えるとフィルム)には様々な疾患があります。黄斑上膜、黄斑円孔などの黄斑疾患や糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剥離、増殖硝子体網膜症、眼内炎などの網膜疾患に対して硝子体茎顕微鏡下離断術(K2801)を行っています。緊急性のある裂孔原性網膜剥離や眼内炎はできるだけ早急に手術を行うようにしています。

緑内障は視神経が障害され視野が狭くなる病気です。眼の中の液体(房水)の産生量と排出量のバランスが崩れ、眼圧が異常なレベルにまで上昇して視神経が障害される場合と、眼圧の上昇は正常範囲内にとどまっているにもかかわらず、視神経がその圧に耐えられず障害される場合があります。
房水の出口のフィルター(線維柱帯)を切開し、房水の排出をよくする手術は流出路再建術(K2682)と呼ばれ、当院では主に低侵襲緑内障手術を行っています。視野や病型によっては濾過手術(K2683)を行っています。濾過手術は房水が結膜(白目) の下に流れるバイパスを作る方法です。房水は結膜の下にたまり、周囲の組織から吸収されます。緑内障の手術は他にもインプラント手術など様々ありますが、どの手術方法を選択するかは個々で異なります。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 150 1.42 3.41 0.00 67.92
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 121 2.34 10.08 0.83 76.58
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 89 1.57 7.27 0.00 73.53
K697-31ロ 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(2cm以内)(その他) 77 2.16 6.31 2.60 77.43
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 56 3.70 9.52 8.93 71.50
「内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)」は、大腸の腺腫(良性腫瘍)、早期がんに対し内視鏡を用いて病変部を焼切る治療をするために入院された患者さんです。病変部以外の大腸を切り取ることがないので治療後の患者さんの生活の質(クオリティーオブライフ)が保たれます。

「血管塞栓術(頭部・胸腔・腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術)」は、肝内の悪性腫瘍を栄養している血管に対しカテーテルを挿入し、抗がん剤と塞栓物質を投与して血流を遮断させ、兵糧攻めにしてがんを死滅させる治療を受けるために入院された患者さんです。

「内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層)」は、胃、十二指腸の腺腫(良性腫瘍)、早期がんに対し内視鏡を用いて病変部を焼き切る治療をするために入院された患者さんです。病変部以外の胃、十二指腸を切り取ることがないので治療後の患者さんのクオリティーオブライフ(生活の質)が保たれます。

「肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(2cm以内)(その他)」は、超音波(エコー)で観察しながら皮膚を通して肝内の悪性腫瘍に対して針を刺し、針につながれた機械を通じて高周波を発生させ、熱により腫瘍を死滅させる治療をするために入院された患者さんです。

「内視鏡的胆道ステント留置術」は主に、胆道(胆管)内の結石や悪性腫瘍などによって胆汁が十二指腸に流れなくなるため、開腹手術をせずに、内視鏡を用いてたまった胆汁を排出できるよう、胆管にステントを入れて治療するために入院された方です。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓切除) 170 2.12 15.34 77.65 70.34
K188-2 硬膜外腔癒着剥離術 56 0.00 1.38 3.57 70.64
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓形成) 47 2.91 18.98 82.98 67.74
K1262 脊椎骨(軟骨)組織採取術(試験切除)(その他) 35 0.43 1.71 2.86 46.77
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) 35 2.60 15.54 91.43 65.43
肩こりや四肢のしびれ、腰痛や下肢痛の原因となる脊椎疾患に対して多くの手術を行っています。低侵襲手術などの治療法の進歩により、かつては治療対象外とされていた重症で高難度の例、リスクの高い例にも生活の質を改善するために手術を選択することが増えています。糖尿病や高血圧など、治療中の病気がある場合には、手術の前に追加の検査や治療を受けていただくことがあります。
高齢者の大腿骨頚部骨折や椎体圧迫骨折さらには骨盤骨折の割合が増加しており、かつ高齢化に伴う骨粗鬆症の増加により複雑で高難度の骨折が増えています。重症かつ難易度の高い骨折に対して、専門的で高度な特殊外傷手術を行います。また、ドクターヘリで搬送しなければならないような、多発骨折、骨盤骨折、脊髄損傷などの重症の外傷患者さんの高難度手術例も県内外から受け入れています。
耳鼻いんこう科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) 46 1.11 4.48 0.00 34.37
K305 乳突削開術 42 1.43 7.57 0.00 48.74
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 36 1.25 5.31 0.00 21.22
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) 32 1.38 6.88 3.13 63.44
K3192 鼓室形成手術(耳小骨再建術) 30 1.50 4.47 0.00 43.27
※院内では、「耳鼻咽喉科・頭頸部外科」の名称としています。

久留米大学病院の耳鼻咽喉科で最も多く行っている手術は慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎、伝音難聴に対する鼓室形成手術です。音を内耳に伝える耳小骨を温存する手術を多く行っています。
乳突削開術は鼓室形成手術の状況に応じて追加する手術です。従来の手術は耳後部を切開するので術後の入院期間が8日間程度必要でした。しかし近年、耳内から内視鏡を用いて鼓室形成手術を行うようになり、術後入院期間が短くなりました。
次に多い手術は口蓋扁桃手術です。対象疾患は扁桃炎を繰り返す慢性扁桃炎や睡眠無呼吸症候群、IgA腎症などの病巣感染症で、手術後は約6日間の入院を要します。
リンパ節摘出術は悪性リンパ腫や転移性リンパ節腫瘍、リンパ節結核、炎症性リンパ節腫脹などの確定診断のために行われる手術です。血液内科など腫瘍を扱う内科、外科や肺結核を扱う呼吸器内科、感染症科、膠原病科などから手術の依頼を受けて耳鼻咽喉科が行います。
鼓室形成術のうち、耳小骨に異常があり、術後の聴力を保つために耳小骨を再建する手術も多く行っています。
手術後はほとんど自宅に退院できますが、リンパ節生検後に他科で治療が必要な患者さんは転院されています。
心臓・血管内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 174 2.29 3.65 0.00 64.36
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 64 3.45 2.81 1.56 69.91
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 54 1.70 3.22 0.00 60.26
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 36 3.08 8.56 5.56 70.97
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 34 6.21 9.06 8.82 70.15
心臓・血管内科において実施している主な手術は、種々の不整脈疾患に対する「経皮的カテーテル心筋焼却術」が最も多く、次いで冠動脈疾患の治療である「経皮的冠動脈形成術」と「経皮的冠動脈ステント留置術」になります。いずれもカテーテル手術に分類されます。カテーテル手術とは、局所麻酔のもと動脈内あるいは静脈内にカテーテルを通して行う治療であり、外科的手術に比較して侵襲が少ないため、患者への負担が少なく、平均在院日数も短く治療可能であることが特徴です。「経皮的カテーテル心筋焼却術」は、不整脈を引き起こす異常な心筋の一部を、カテーテルを使って焼却し、正常な心臓のリズムを回復させる手術です。「経皮的冠動脈形成術」と「経皮的冠動脈ステント留置術」は、狭心症や心筋梗塞の原因である狭くなった心臓の血管(冠動脈)を血管の内側からバルーン(風船)やステント(金属)で拡げ、心臓の血流を回復させる治療です。さらに、内科で行う手術として、「ペースメーカー移植術」があり、これは、脈が遅くなることや正常な規則的リズムを保てなくなることによる心臓の異常がおこる不整脈に対して行われる手術で鎖骨の下の血管から心臓内部にリード線を挿入して心臓の正常なリズムを回復させます。手術後には縫合した傷の修復や、心臓内のリード線が安定するために安静が必要であり、状況により異なりますが平均約2週間の入院期間が必要です。
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K867 子宮頸部(腟部)切除術 65 1.14 2.02 0.00 41.52
K867-4 子宮頸部異形成上皮レーザー照射治療 64 0.00 1.00 0.00 31.59
K879 子宮悪性腫瘍手術 56 4.39 16.18 3.57 59.98
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 45 1.36 3.87 0.00 42.67
K879-2 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 等 32 2.59 6.13 0.00 55.50
子宮頸部異形成(前がん病変)は若年女性(20代-30代)に非常に増えています。子宮頸部切除術とは子宮頸部異形成に対して子宮の出口を円錐状に切除し、子宮を温存する方法で子宮頸部円錐切除術と呼ばれます。一方レーザー照射治療とは、切除を行わず異形成を治療する方法で、治療後の妊娠、出産への影響がさらに少ない治療法です。全ての患者さんにレーザー照射治療(蒸散術)が可能というわけではありませんので、条件を満たす場合に適応となります。
子宮悪性腫瘍手術とは子宮体がん、子宮頸がんに行われる手術で病変の小さなもの、早期と考えられる例にはより傷が小さく、入院が短期間で済む腹腔鏡下手術も可能です。また、ロボット支援下内視鏡手術も保険適応となり、当院でも導入しています。子宮附属器腫瘍摘出術とは卵巣腫瘍に対して行われる手術です。良性の卵巣腫瘍では腹腔鏡下かつ卵巣機能を温存することも可能です。悪性の場合には開腹でより広い範囲の切除を行う必要があります。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 141 2.06 7.23 1.42 75.32
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 59 1.29 13.31 0.00 69.85
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 51 2.18 6.33 0.00 61.22
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 37 2.41 14.32 2.70 68.43
K773-5 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 31 2.03 11.03 0.00 69.48
当院は、膀胱がん、腎がん、前立腺がんなどの悪性腫瘍の手術から尿路結石や前立腺肥大症などのがん以外の手術まで幅広く治療を行っております。ロボット支援下手術や腹腔鏡手術、密封小線源治療、レーザーを用いた手術などを積極的に行っており、患者様の負担が少ない低侵襲手術を心がけております。そのため、ほとんどの手術で入院期間は1~2週間程度となっております。悪性腫瘍では、膀胱がん、腎がん、前立腺がんの手術が特に多く、がん以外の疾患では腎結石・尿管結石などの手術を数多く行っております。手術後は、患者様の負担が少なく、安心して過ごせるように、かかりつけ医と連携しながら、経過をみていきます。
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 74 4.08 13.55 4.05 69.76
K655-22 腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍手術) 等 56 3.21 15.45 7.14 72.04
K7322 人工肛門閉鎖術(腸管切除を伴う) 40 2.25 11.78 0.00 66.10
K740-22 腹腔鏡下直腸切除・切断術(低位前方切除術) 等 36 4.69 19.58 0.00 68.67
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 33 2.88 7.18 3.03 59.45
※院内では、「食道外科」、「胃大腸外科」、「肝胆膵外科」の名称としています。

【胃大腸外科】
胃疾患手術では、胃癌に対する胃切除術(幽門側胃切除術、胃全摘術、噴門側胃切除術)を多く行なっています。その他の悪性腫瘍に対する胃切除術も含めると,毎年100例を越える胃切除術を行なっています。
各疾患の治療ガイドラインを基本として一人一人の患者さんに応じた適切な治療法をご本人やご家族と話し合いながら選択しています。
手術は侵襲の少ない鏡視下手術を積極的に行っています。約8割の症例は腹腔鏡や手術支援ロボット支援下の胃切除術です。開腹手術に比べ出血量や術後疼痛が少なく術後在院日数も短くなっています。
患者さんは手術の2〜5日前に入院し、手術後は2〜3週間で退院されます。退院前にはご家族とともに食事の取り方の指導を受けていただき、ほとんどの方は直接ご自宅に退院されています。

【肝胆膵外科】
胆石症に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術は一般的な手術方法ですが、時に胆嚢周囲の炎症性変化や解剖学的異常により危険な合併症を呈することがあります。また、胆嚢の炎症と胆嚢がんとの鑑別が困難な場合があり、その際は手術前にCTや超音波内視鏡検査などの高度な画像検査が必要となります。手術後の病理検査にて初めてがんが診断されることもあり、その際は再度がんに対する肝切除、リンパ節郭清、胆管切除などの根治的手術を早急に行わなければなりません。

心臓・血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5551 弁置換術(1弁) 50 5.44 28.74 62.00 74.28
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) 41 3.98 28.59 63.41 69.12
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 30 0.00 1.00 0.00 67.30
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 22 2.68 11.41 4.55 76.18
K5606 大動脈瘤切除術(腹部大動脈(分枝血管の再建)) 16 2.56 14.50 0.00 72.50
当院では弁膜症、虚血性疾患、大動脈疾患など、心臓血管外科手術の全ての手術に対応可能です。さらに大動脈瘤に対するステント治療、大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁植え込み術、下肢静脈瘤に対するレーザー治療などの低侵襲治療も積極的に行っています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 68 7.49 32.84 22.06 56.57
K1783 脳血管内手術(脳血管内ステント) 29 3.62 11.28 0.00 65.17
K171-21 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(下垂体腫瘍) 18 4.22 17.72 0.00 52.44
K1781 脳血管内手術(1箇所) 17 2.12 22.41 5.88 58.59
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓切除) 14 2.64 17.07 50.00 74.50
手術別にみますと良性、悪性問わず脳腫瘍に対する腫瘍摘出術を最も多く行っております。実際のところ脳腫瘍の手術数はここに示す数だけではなく、術式の異なる経鼻内視鏡手術や腫瘍生検術、広範頭蓋底手術などをあわせると年間100例近い症例数があります。脳血管内治療は破裂・未破裂脳動脈瘤に対する治療だけでなく、狭窄・閉塞性疾患に対するステント留置術や血栓回収治療まで広くカバーしています。現在は限られた施設でしか行えないフローダイバーター留置術も日常的に治療しています。脊椎疾患では前方アプローチ、後方アプローチ、固定の有無など術式を問わず患者さんに提供が可能であり、最適な手術方法を検討した上で術中モニタリング下に行っております。慢性硬膜下血腫は高齢者の認知症や麻痺および歩行障害の原因となる疾患の一つですが、局所麻酔下の手術で症状の改善が期待できます。地方の医療圏を担う大学病院であることから、このような高齢者に頻度の高い疾患に対しても柔軟に対応しています。症状の完全な入院日数や転院に関しては疾患の程度にもよりますが、疾患にかかわらず術後2週間以内の自宅退院を目指しております。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 32 0.09 1.75 0.00 63.09
K2172 眼瞼内反症手術(皮膚切開法) 13 0.69 2.00 0.00 22.69
K2193 眼瞼下垂症手術(その他) 11 0.00 1.18 0.00 60.18
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満) 11 0.64 2.09 0.00 25.18
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他) 11 0.91 1.73 0.00 21.09
※院内では、「形成外科・顎顔面外科」の名称としています。

疾患数でも多い眼瞼下垂や眼瞼内反鞘および睫毛内反症は、手術件数においても多くみられます。眼瞼周囲の治療法では多様な手術法があります。原因、年齢、性別および症状に応じて手術法を決定しています。また最近では比較的小さな皮膚皮下腫瘍手術が増加しており、手術適応の場合は積極的に手術により摘出を行っております。さらに大きな血管腫では摘出が困難な場合は、血管塞栓術により腫瘍の増大や出血のコントロールなどを行っております。
産科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 86 4.72 7.91 0.00 33.65
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 65 8.74 8.28 0.00 32.91
K9062 子宮頸管縫縮術(シロッカー法) 15 0.87 5.67 0.00 34.53
K893 吸引娩出術 10 5.90 6.20 0.00 32.20
K897 頸管裂創縫合術(分娩時) - - - - -
妊婦さんの中には、分娩予定日よりかなり早い時期に出産(早産)される方、あるいはその恐れのある(切迫早産)の方、出産年齢の高い方、双子の赤ちゃんを妊娠している方、糖尿病、高血圧症などの様々な内科的疾患をもっておられる方等を、ハイリスク妊婦と言い、通常(ローリスク)妊婦と異なり、妊娠、分娩中に、様々な管理や医療介入が必要となります。
当院は、高次周産期医療施設として、このようなハイリスク妊婦さんを中心に医療を行っています。とりわけ、当施設で力を入れているのが、妊娠糖尿病です。妊娠糖尿病とは、妊娠中にのみ糖尿病と同じような病態を示すもので、近年妊婦さんの高齢化と相まって次第に増加しています。また、早産については、近年その予知あるいは予測をすることが可能となり、早産に至る前の切迫早産の状態で、手術(頸管縫縮術)や子宮収縮抑制剤の投与等の入院管理を行い、早産を回避することも可能となってきました。
 赤ちゃんは、狭い母体の産道を通過して生まれてきます。赤ちゃんと産道は、ねじとねじ穴に例えることができます。出産に長時間を要する難産の原因として1)ねじがねじ穴にきちんとはまっていない(児頭の回旋異常)、2)ねじが固い(軟産道強靭)、ねじを回す力が弱い(微弱陣痛)の3つがあります。1)あるいは2)の場合は、最初から帝王切開を行う(選択的帝王切開)(K8982)ことがあります。一方、出産の経過中に、低酸素状態等が原因で赤ちゃんの心拍が低下する場合も帝王切開(緊急帝王切開)となります(K8981)し、赤ちゃんの頭が産道の出口付近に達している場合、吸引娩出術(K893)といって、赤ちゃんの頭に吸引カップと呼ばれる器械を装着し、出産になることもあります。
 近年、当施設を含め、帝王切開による出産が増加する傾向にあります。妊婦さんが帝王切開を行い、次に妊娠した場合、前回子宮を切開した場所が脆弱化することがあります。そのような場合、陣痛がおきると脆弱化した部位が破れる(子宮破裂)可能性があります。このため、帝王切開を経験した多くの妊婦さんは、次回以降帝王切開を選択することが多くなっています。
皮膚科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 104 1.28 8.40 1.92 73.42
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満) 14 0.93 3.71 0.00 36.86
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) 等 13 0.85 5.08 0.00 38.08
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上12cm未満) 等 10 1.20 5.50 0.00 48.40
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満) - - - - -
皮膚科で行われる手術では、様々な部位に発症した皮膚悪性腫瘍に対する皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除)が最も多く、母斑や良性腫瘍に対する切除も多く行っています。皮膚科における手術症例数は、多い順に ①皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除)、②皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm未満)、③皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満)、④皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上12cm未満)、⑤皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満)となっています。再建としての植皮術や皮弁作成術なども、当科の症例は自科内で多くを行っています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 等 83 2.66 10.22 1.20 69.40
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 26 2.27 5.62 0.00 62.27
K488-4 胸腔鏡下試験切除術 13 2.15 7.38 7.69 66.62
K5143 肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) - - - - -
K5132 胸腔鏡下肺切除術(その他) - - - - -
当科で扱う主な疾患は原発性肺癌、転移性肺腫瘍、良性肺腫瘍、縦隔疾患、気胸、膿胸、胸壁腫瘍、中枢気道狭窄症などです。当院では呼吸器病センターの中に呼吸器外科、呼吸器内科、放射線科があり、毎週これらの科で合同カンファランスを行って治療方針を検討しています。特に肺癌の治療では手術、化学療法(抗がん剤)、放射線療法などを組み見合わせた集学的治療が必要であり複数の科で検討会を設けることが大切です。
肺癌に対する手術方法は症例によって最も適したアプローチ方法を選択します。特に胸腔鏡下手術に力を入れています。ほかに開胸手術、ロボット支援下手術も積極的に行っています。
呼吸器外科専門外来を月曜日~金曜日まで毎日行っています。当日受診も可能な限り受け入れています。時間帯・混み具合・学会時期などで変動がありますので、地域医療連携室へご連絡頂ければ受診予約がスムーズにできます。
救急科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K386 気管切開術 25 16.32 28.64 80.00 74.16
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) 20 0.50 8.40 75.00 74.5
K639 急性汎発性腹膜炎手術 - - - - -
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) - - - - -
K178-4 経皮的脳血栓回収術 - - - - -
※院内では、「高度救命救急センター」の名称としています。

高度救命救急センターは3次救急医療施設として、内因性、外因性を問わず、緊急治療が必要な救急患者を受け入れています。意識障害や呼吸不全のため人工呼吸器装着を長期に必要とする症例に対しては、気管切開を行うことで合併症の予防や長期鎮静を回避し、早期リハビリによる社会復帰を目指しています。腸管壊死や腸管穿孔などを原因とする重篤な腹膜炎症例に対しては、緊急開腹手術による汎発性腹膜炎根治術を施行しています。また、不安定狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患に対する経皮的冠動脈ステント留置術や、急性期脳梗塞に対する経皮的血栓回収術など、閉塞した血管を再開通させるための低侵襲な血管内治療を積極的に行っています。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K574-2 経皮的心房中隔欠損閉鎖術 44 2.00 3.00 0.00 8.23
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度) 34 0.00 45.76 0.00 0.00
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度) 14 0.00 66.50 0.00 0.00
K5621 動脈管開存症手術(経皮的動脈管開存閉鎖術) - - - - -
K5741 心房中隔欠損閉鎖術(単独) - - - - -
当科においては13の専門分野のスペシャリストが小児の内科的疾患を幅広く診療していることが特徴です。中でも循環器グループにおいては、動脈管開存症、心房中隔欠損症等のカテーテル治療の症例数が非常に多く、低侵襲の治療を可能にしております。川崎病は、難治例の治療経験も豊かです。新生児グループは、総合周産期母子医療センターを有しており、早産に伴う2500g未満の低出生体重児を数多く入院治療を行っています。神経グループでは初発のてんかんからWest症候群など難治性てんかんの患者さんを多く診ています。てんかんは発作の正確な診断が重要で適切な治療につながります。治療は抗てんかん薬の調整、ACTH療法、ケトン食療法、てんかん外科への適切な紹介を行っています。

小児外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 鼠径ヘルニア手術 26 1.12 1.00 0.00 3.54
K5223 食道狭窄拡張術(拡張用バルーン) 19 1.16 4.58 0.00 1.11
K836 停留精巣固定術 16 1.06 1.19 0.00 3.13
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 15 1.00 1.00 0.00 5.47
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 13 10.23 25.23 15.38 23.00
当科では、小児外科で一般に取り扱う鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡手術、停留精巣に対する精巣固定術、臍ヘルニアへの根治術に加え、近隣の重症心身障碍児施設からの症例に対して安全性に配慮した腹腔鏡補助下胃瘻造設術を行っております。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K610-3 内シャント設置術 54 7.17 18.50 7.41 68.44
K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 47 9.15 7.13 14.89 67.26
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 14 12.36 27.21 14.29 66.71
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) - - - - -
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) - - - - -
当科では直接透析業務に従事する腎臓内科医が内シャント設置術、経皮的シャント拡張術、腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術を行っています。他病院と比べ腹膜透析関連の手術が多いことが特徴です。
1番目の内シャント設置術は、血液透析が可能となる血管を作成する手術です。新規の血液透析患者さんや、血管拡張術が困難なシャント閉塞の症例に対する再造設もこれに含まれます。

2番目の経皮的シャント拡張術、血栓除去術はバスキュラーアクセスのトラブル(主にシャント狭窄)に対し行われますが、当院の外来・入院患者さんだけでなく、近隣透析クリニックからの治療依頼も受けております。基本的には1泊2日の入院で行っており、拡張した血管が翌日の透析で使用可能であることを確認し退院となります。

3番目は連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術で、腹膜透析を導入する際に行います。
腹膜透析とは自分の体にある“腹膜”を介して透析液により血液をきれいにする透析です。自分の腹腔内に透析液を注液し、腹膜を介して過剰な水分や老廃物を交換させます。血液透析よりも残っている腎臓の機能をより長く保つことができますし、在宅透析ですのでライフスタイルに合わせて行うことができることも特徴です。
放射線科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用埋込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合) 等 47 0.04 1.00 0.00 62.87
K6172 下肢静脈瘤手術(硬化療法) 37 0.03 1.89 0.00 28.57
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他) 28 0.89 3.61 0.00 49.89
K142-4 経皮的椎体形成術 - - - - -
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) - - - - -
静脈内持続注入用埋込型カテーテル留置とは、血管内に刺した細い管(カテーテル)を皮下に留置し、必要なときに対外から接続して薬剤を投与できるようにする小さな器具を皮下に留置することです。抗悪性腫瘍剤は漏れると皮膚に重大な障害をきたす可能性があるため、静脈内持続注入用埋込型カテーテル設置を行うことで、確実に静脈内へ薬剤を投与することが出来ます。
 血管塞栓術とは、血管にカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、カテーテルから塞栓物質を注入することで、血液の流れを止める治療です。対象となる疾患は、外傷による出血、腫瘍、血管奇形、動脈瘤などからの出血、消化管出血、喀血、難治性鼻出血、産科出血、術後出血、など多岐に渡ります。また静脈奇形に対する硬化療法、動静脈奇形に対する血管塞栓術に対しても多数例の治療を行なっております。
 経皮的椎体形成術とは、骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折の疼痛緩和や安定性増強を目的とし、穿刺針を経皮的に椎体を穿刺し、骨セメントを注入する手技です。
 静脈内持続注入用埋込型カテーテル留置、血管塞栓術、経皮的椎体形成術の検査・治療を行うにあたり、入院が必要な場合は当科病棟にて対応しています。
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用埋込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合) 62 1.98 10.60 1.61 64.60
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 17 5.41 7.88 0.00 70.18
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 - - - - -
K6182 中心静脈栄養用埋込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合) - - - - -
K775 経皮的腎(腎盂)瘻造設術 - - - - -
※院内では、「がん集学治療センター」の名称としています。

抗がん剤の投与の、長期間に渡る点滴が繰り返し必要になります。中心静脈ポートは、皮下に埋め込むカテーテルで、先端は心臓近くの太い血管に留置されます。このカテーテルを使用することで、患者さんに安全にかつ繰り返す血管穿刺をすることなく、抗がん剤を安全に投与することが可能になります。悪性腫瘍により、肝臓から腸管へ胆汁を排出する胆道の通りが悪くなると、黄疸が生じます。内視鏡的胆道ステント留置術は、開腹手術ではなく、口から細い内視鏡を十二指腸まで入れて、そこから狭くなった胆道を広げることで、黄疸を改善する処置です。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 23 3.22 7.78 4.35 67.22
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 20 1.15 4.90 0.00 63.95
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) 17 2.53 10.00 11.76 66.88
K4741 乳腺腫瘍摘出術(長径5cm未満) 16 0.94 1.06 0.00 47.06
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) 11 0.91 1.09 0.00 58.64
※院内では、「乳腺・内分泌外科」の名称としています。

通常、乳がんを含む乳房の切除と同時に、わきの下のリンパ節も摘出します。これを『腋窩リンパ節郭清』といいます。腋窩リンパ節郭清は、乳がんが転移する領域のリンパ節再発(鎖骨や首まわりのリンパ節)を予防するだけでなく、転移の個数によって再発の可能性を予測し、術後に再発予防のための薬物療法が必要かどうかを決定します。しかし、腋窩リンパ節郭清を行うと、手術をした腕にリンパ浮腫(むくみ)が出たり(頻度は10~20%程度)、肩の痛みや運動障害が起きることがあります。
それを減らすために、術前に明らかなリンパ節転移がない方にはセンチネルリンパ節生検(腋窩部郭清を伴わないK4762,K4763)を行うようになりました。センチネルリンパ節とは日本語で「見張り番リンパ節」という意味で、乳房のがんからリンパの流れに沿って、初めに到達する腋窩リンパ節のことを指します。乳輪に放射線同位元素(RI法)やインジゴカルミン色素(色素法)を注射することにより見つけることができます。 センチネルリンパ節に転移がないとき、多くの場合(90%以上)、わきの下のリンパ節に転移がないということがわかっています。 センチネルリンパ節生検でがんの転移を認めない場合、腋窩リンパ節郭清を行わなくてもよいことが研究で証明されています。当院の乳がん症例も半数以上(約60%)がセンチネルリンパ節生検を行っています。また、当院においては従来の色素法、アイソトープ(RI)法に加え、蛍光色素法(ICG法)によるセンチネルリンパ節検出を行っております。入院期間や転院率については前述通りです。
浸潤のある(乳管外へがん細胞が広がった)乳がん、あるいはリンパ節転移を認めた乳がんは早期から全身に微小転移をきたし,手術のみでは根治できない症例が多いと考えられています。そのため術後に再発予防目的で点滴の抗がん剤や分子標的治療、内服のホルモン療法を患者さんの進行度、乳がんのタイプに合わせて行っていきます。術前にリンパ節転移が多い、腫瘍が大きいなど進行している場合や、腫瘍を小さくして乳房温存手術を希望される場合には,手術前に抗がん剤治療を行うこともあります。その治療期間は約3-6ヶ月と長期にわたるため、抗がん剤による血管の静脈炎を防ぐ目的で、埋め込み型カテーテルを頚部の太い血管に設置する手術(抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用埋込型カテーテル設置)を、部分麻酔、1泊入院で行っています。
また、転移再発を伴う乳がん患者の治療前に、再度乳癌の性質を病理学的に調べるため、リンパ節摘出術(K6261)を行うケースも時々あります。この手術は、1泊入院で行うことが多い。
血液・腫瘍内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用埋込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合) 等 19 20.63 8.74 5.26 60.05
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植) 13 7.54 1.92 0.00 56.38
K722 小腸結腸内視鏡的止血術 - - - - -
K654 内視鏡的消化管止血術 - - - - -
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) - - - - -
自家末梢血幹細胞移植は、患者さんから予め末梢血幹細胞を採取して冷凍保存した後、患者さんに大量の抗がん剤を投与し、がんの治療を行った後、冷凍保存しておいた末梢血幹細胞を解かして点滴することで、造血を回復させる治療です。通常のがん化学療法より、大量の抗がん剤を使用することが可能となり、治療効果が改善することが期待されます。この治療は、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などに対して、治癒や生存期間の延長を目的として行われます。
抗がん剤の投与の、長期間に渡る点滴が繰り返し必要になります。中心静脈ポートは、皮下に埋め込むカテーテルで、先端は心臓近くの太い血管に留置されます。このカテーテルを使用することで、患者さんに安全にかつ繰り返す血管穿刺をすることなく、抗がん剤を安全に投与することが可能になります。
内分泌代謝内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 10 15.80 18.20 0.00 70.40
K2761 網膜光凝固術(通常) - - - - -
K3942 喉頭悪性腫瘍手術(全摘) - - - - -
K2762 網膜光凝固術(その他特殊) - - - - -
K655-22 腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍手術) - - - - -
当科では糖尿病や内分泌疾患の診断と治療を行なっています。
糖尿病は、膵臓からの分泌されるインスリンの作用不足により血糖値が高くなる病気です。長期間放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞、脳卒中、足の壊疽などの合併症を引き起こし、また網膜症、腎症から失明や透析に至る怖い病気です。2型糖尿病は食べ過ぎや運動不足などが原因の生活習慣病として知られていますが、なかにはインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が免疫機序により破壊される1型糖尿病もあります。治療薬の選択肢も増えており、インスリンポンプや持続血糖測定等を用いた先進的な治療も行っています。きちんと通院し治療を受けることで、合併症を予防し、健康な生活を送ることができます。

内分泌疾患とは主にホルモンの分泌に異常をきたす病気の総称です。血液中に分泌されるホルモンは、体の調子を整える作用があります。全身のホルモンの司令塔である下垂体のホルモンが不足すると、体の疲れや食欲の低下などの症状を引き起こします。ホルモンが不足しているかどうかは負荷試験という血液や尿の検査を行なって判断します。不足しているホルモンは、飲み薬や注射などで補充することができ、それにより症状の改善がみられます。逆に下垂体にホルモン産生腫瘍ができ、そのホルモン作用が過剰になる病気もあります。例えば先端巨大症という病気は成長ホルモン産生腫瘍が原因で、手足や下顎が大きくなったりします。早く診断して、手術やお薬で治療する必要があります。ホルモン産生臓器の一つに副腎があります。副腎はストレスに対抗するホルモンを分泌しています。そのため、副腎の機能が低下すると、倦怠感や食欲低下が見られ、発熱などのストレスが加わると、血圧低下や意識消失など、命に関わる症状が見られることもあります。副腎には腫瘍も多くみられます。腫瘍自体がホルモンを産生しているものから、ホルモン産生はなくても腫瘍による圧迫により機能低下症をきたすものもあります。これまで、ホルモン産生腫瘍は症状が進行してから発見されることがほとんどでしたが、最近の画像診断の普及により、症状が出ないうちに見つかる腫瘍も増えてきました。
検診で異常をいわれた方、症状のある方は早めに病院を受診し検査を受けて下さい。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 46 0.27
180010 敗血症 同一 12 0.07
異なる 30 0.18
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 80 0.48
異なる - -
【播種性血管内凝固症候群、敗血症】
救命救急センターは3次救急医療施設として、内因性、外因性を問わず、重症度の高い救急患者を主に受け入れています。これらの重症患者では、ショックや臓器障害を合併することが多く、原疾患とともに、合併した様々な臓器障害に対しても集中的な治療が必要となります。特に、血液を固め止血する機能が破綻することにより易出血性状態となるDIC播種性血管内凝固症候群と呼ばれる病態や、重症病態時に陥りやすい免疫能力低下を背景に生じる重症感染症(敗血症)は、重症度の高い患者に生じやすい特徴的な病態で、臓器障害の一因となるため、救命センターでは原疾患に対する治療と同時に、これらに対しても早期から積極的な治療を行っています。

【手術・処置等の合併症】
手術・処置等の合併症において、入院契機が同一となる100件のうち、腎臓内科で44件を占めています。主なものとしては、透析シャント狭窄(26件)となります。

腎臓内科では新規透析導入患者、内科的に治療困難なバスキュラーアクセストラブル患者に対して内シャント設置術を施行しています。術後早期(2~3週間)でバスキュラーアクセスのトラブルをきたし、再治療が必要になることも少数ながらありますが、ほとんどは経過良好なシャント血管となり、安定して血液透析に使用されています。しかしながら、患者さんの中には術後数カ月から数年単位を経てシャント狭窄などのアクセストラブルをきたし、治療を要することがあります。治療法としては経皮的血管拡張術で対応可能なケースが大半ですが、血管拡張術では治療困難な例は、再度シャント設置術が必要となり、シャント閉塞例がこれに含まれることが多くなっています。
更新履歴
2020/9/30
平成元年度 病院指標の公開