平成29年度高齢者白書によると、認知症患者数の増加傾向は続いており、2025年には高齢者人口の5人に1人(20%)に達すると推計されています。また、予備軍である軽度認知障害(MCI)も同程度に存在すると推定されています。そこで、国は平成20年度(2010年度)から新たに認知症の専門医療機関として、認知症疾患医療センターの指定を開始し、全国に認知症疾患医療センターは170か所以上整備され、福岡県におきましては、現在福岡県指定の福岡県認知症医療センターを10ヶ所、また政令指定都市である福岡市に2ヶ所、北九州市に4ヶ所認知症疾患医療センターが指定されており、計16の指定病院があります。久留米大学も平成23年11月15日の指定を受けて以降、福岡県認知症医療センター久留米大学病院として開設しました。 当センターでは地域における保健医療・介護機関等と連携を図りながら、認知症疾患に関する鑑別診断、周辺症状と身体合併に対する急性期治療、専門医療相談等を各医療機関等と協力して実施するとともに地域保健医療・介護関係者への研修等を行い、地域における認知症疾患の保健医療水準の向上を図ることを目的としています。 実際には久留米大学病院の医療連携センター内に相談窓口を設置し、認知症に関する専門知識を有する精神保健福祉士を配置し、本人、家族、関係機関からの認知症に関する医療相談に対応しています。また、治療については、認知症医療センターで受け入れるほか、地域の専門医療機関、一般病院や精神科病院と緊密な連携を図り、地域全体で受け入れる体制をとっています。地域連携の推進を図るため、地域の医療機関、地域包括支援センター、区市町村、保健所・保健センター等の関係機関、家族介護者の会等と地域医療連携協議会等を開催し、地域において関係者が密接に連携するネットワーク作りを行っています。認知症に関する正しい知識を習得して、地域で活用していただけるよう今後も様々な情報を提供してまいりますのでよろしくお願いいたします。
久留米大学医学部神経精神医学講座
小曽根 基裕