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久留米大病院

採用情報

2023.10.02

高齢者見守りたい(隊)~看護部の取り組み~

医療現場

高齢者の患者さんの尊厳と安全性を守るために行っている見守り活動について、看護師のおふたりに語ってもらいました。

毎週の病棟ラウンドで、些細なサインも見逃さない。

上川:高齢者見守りたい(隊)は、「高齢者や認知症の患者さんたちの身体拘束を減らしたい」という想いから始まった取り組みです。患者さんの安全を守るため、どうしても身体拘束が必要な場合もあるのですが、一方で患者さんの尊厳も守り、少しでも快適な入院生活を送っていただきたい。そんな葛藤が看護の現場でもありました。そこで老人看護の専門看護師でもある西村さんを中心に、複数人の看護師で各病棟をまわる見守り隊の活動がスタートしました。

西村:当院では、もともと毎週水曜は認知症ケアチーム、金曜は精神科リエゾンチームが、多職種で各病棟を回診し、患者さんの不眠や不安などの相談を受けています。さらに毎週月曜にも私たち見守り隊のラウンドが加わることで、2日以上の間を空けず患者さんの様子を見ることができ、些細な変化にも気づけます。回診の前にはカルテを細かくチェックして、患者さんを2名ほど選定し、時間がある限りベッドサイドでお話をするなど、対話と交流を大切にしています。

上川:認知症や高齢者の患者さんの、身体抑制につながる1つの要因が、夜間に活動的になる「せん妄」という症状です。生活リズムを整えたり、精神的に安定した状態を保つことも大切なので、患者さんと対話の機会が増えたことはとても効果的だと実感しています。実際に西村さんと会話することで、患者さんの状態が安定してきた事例も複数あります。

看護の未来につながる、継続した活動に!

西村:2021年5月から始まった活動ですが、院内でも活動がしっかりと浸透しているのを感じています。いつも私と主任看護師や看護師長などの管理者、看護実践向上委員会の看護師など複数名でラウンドしているのですが、見守りたい(隊)に参加したことがある看護師がどんどん増えてきて嬉しいです。

上川:西村さんと一緒に回診することは、看護師にとっても高齢者や認知症のケアを学ぶ貴重な機会となっています。老人看護の専門看護師として、どういう目線で患者さんをみているのか、カルテをどう読み解いているのか、そして直接どんな会話をしているのか。実際に見てもらうことで看護部全体のスキルアップにもつながります。

西村:些細な情報から入院中のQOLが向上し、せん妄の発症予防につながることもあるので、対話はとても重要だと感じています。見守り隊に参加したスタッフが、患者さんが自宅ではいつもお布団で寝ていたという話を聞いて、病室のベッドを変えて床にマットを直敷したところ、眠れるようになってせん妄がおさまったこともありました。他にも、朝は必ずコーヒーを飲んでいたという話を聞いて、毎朝デイルームで缶コーヒーを飲んで休憩する時間をもつなど対話の中からケアにつなげられた事例もあります。
上川:2021年に活動がスタートして、翌年にはラウンドだけでなく、各病棟でタイムリーに話し合うことが出来るようガイドを作りました。そして2023年は見守りたい(隊)の取り組み実績を紹介する高齢者ケア便りも発行しました。患者さんの高齢化がすすむ医療現場において、高齢者ケアを学ぶことは大切なことです。これからも見守りたい(隊)の活動の拡大に取り組んでいきたいと思っています。