COVID-19パンデミックは社会に大きな影響を与え、多くの人々に感染症対策の重要性を再認識させました。しかしながら、COVID-19の流行が落ち着きを見せた現在においても、新興・再興感染症の脅威がなくなったわけではありません。国際的な人の往来の活発化や気候変動などを背景に、これまで国内では稀であった感染症の流入や新たな感染症の出現が懸念されています。
さらに、薬剤耐性菌(AMR)の問題は世界的に深刻化しており、「サイレントパンデミック」とも呼ばれる重要な公衆衛生上の課題となっています。感染症に対する社会的関心が薄れつつある今こそ、医療機関にはより一層の感染対策と適正な抗菌薬使用の推進が求められています。
久留米大学病院感染制御部は、患者さんに安全で質の高い医療を提供することを第一の使命とし、院内感染対策、薬剤耐性菌対策、感染症診療支援、抗菌薬適正使用支援、職業感染対策などに日々取り組んでいます。また、大学病院として高度医療を支えるだけでなく、地域の医療機関や行政機関とも連携し、感染症対策に関する教育・啓発活動や専門的支援を通じて、地域全体の感染症対策の向上に貢献することを重要な責務と考えています。
当部は、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師をはじめとする多職種がそれぞれの専門性を発揮しながら協働する組織です。感染症を取り巻く環境が大きく変化する中、多様な専門職が連携し、科学的根拠に基づいた感染対策を推進するとともに、大学病院として診療・教育・研究の三つの使命を果たしながら、患者さん、医療従事者、そして地域社会を感染症から守るために尽力しています。また、次世代を担う医療人の育成と新たな知見の創出を通じて、地域における感染症対策の発展に貢献してまいります。
2026年6月1日
久留米大学病院 感染制御部 部長 後藤憲志