久留米大学病院ウェブサイト 久留米大学病院ウェブサイトトップページへ トップページへ
---
ドクターヘリINDEX
---
ドクターヘリとは?
ドクターヘリの特徴
防災・消防ヘリとの違い
出勤 〜患者搬送のフロー
活動報告(統計資料)
搬送事例
ドクターヘリ性能・仕様
運行圏域
離着陸場について
臨時へリポート一覧
患者搬送医療機関
出動基準ガイドライン
運行調整委員会設置
ドクタ−ヘリ症例検討会設置
ドクターヘリ関連資料(PDF)
お問い合せ
---
ドクターヘリTOPへ
---
Home
 

ドクターヘリTOP > 活動報告(統計資料)
活動報告(統計資料)
平成15年度はこちら >
< 平成17年度はこちら
---
平成16年度活動報告
平成16年度ドクターヘリ運航実績
フライトドクター:坂本照夫・山下典雄・最所純平
           廣橋信之・秦  洋文・高松学文
           宇津秀晃
            
---
 平成16年度はドクターヘリ事業の3年目にあたり、平成14年度・平成15年度の実績をさらに上回る結果となった。以下に運航実績と分析について報告する。

 1:出動要請件数と搬送先について
 
 図1に出動別件数と対応した傷病者の搬送先、キャンセル数とその理由を示す。現場出動は156件、病院間出動は147件、キャンセルは31件で合計334件の要請があった。出動によって出動によって処置した傷病者数は300例で、そのうちヘリ搬送した傷病者は276件であった。

 現場出動156件のうち5件はドクターヘリ離陸後(3件がオーバートリアージの為、2件が心肺停止となったため)キャンセルとなっているがヘリが離陸しているため出動にカウントした。傷病者に接触した151件の現場出動のうち2件は、1階の出動で2例の傷病者に対応した。このため対応傷病者数は153例である。このうち、12例は状態不良もしくは心肺停止となったため、10例はフライトドクターの診察によりオーバートリアージと判断されたため最寄りの救急病院へ救急車搬送となった。したがって、ドクターヘリに収容して搬送した傷病者数は131例であった。このうち109例は久留米大学病院高度救急救命センターへ、3例は久留米大学病院一般診療科へ搬送され、19例は傷病者の状態と地理的な状況から最も適切と思われる救急病院へヘリ搬送した。

 一方、病院間搬送147件のうち、2件において傷病者の状態が不良もしくは心肺停止となったためヘリ搬送できず(不搬送)、要請病院へ引き返した。したがって145例に対してヘリ搬送を行ったが、122例は久廣留米大学病院へ、18例は他の医療機関から他の医療機関へ、5例は久留米大学病院から他の医療機関への搬送となった。

 キャンセル件数は31件であったが、その理由として最も多かったのが天候不良の10件であった。次が出動中の要請のためで9件、第一報からドクターヘリを要請したものの救急隊員が現着して観察したところ予想以上に傷病者の状態が良好であった場合(いわゆるオーバートリアージ)が5件、心肺停止となっていたためが2件、時間外などその他の理由によるものが5件であった。ここ3年間の傾向としては、病院間搬送に比べて現場出動要請の件数が増加してきたことである。平成14年度・平成15年度は病院間搬送の方が多かったが、平成16年度は現場出動の方が多くなった。これは、病院前救護を担う救急隊員にドクターヘリの意義や有効性の理解が浸透してきたためと考えられる。


     






2:天候状況について
 図2は月別の天候状況を示す。例年と同様に梅雨時期や台風シーズンには一部制限や全域制限の割合が多くなっているが、全日全域運行できたのは284日(78%)で、一部制限や全域制限も平成14・15年度と同様の割合で、それぞれ62日(17%)、19日(5%)であった。ヘリが飛行できる天候条件として視界が最も大きな問題となるが、平地では視界が保たれていても山間部などでは視界が保てない場合があり、一部制限の比率を高くしている。天候不良はキャンセル理由として最も多く10件であり、全要請件数における割合は2.9%であった。



3:月別要請件数の推移
  図3は月別の要請件数と出動要請消防機関を示す。平成16年度の中でも現場出動要請の比率が増加してきているのがうかがえる。月平均28件の要請、ほぼ毎日1件の要請がなされていることになる。


 

4:要請別疾患分類について

 図4は出動要請別の疾患分類を示す。

 現場出動の特徴は外傷が圧倒的に多いことで、対応傷病者153例のうち124例(81%)、熱傷を含めれば133例(87%)を占める。2番目に多いのが中枢神経系疾患10例(6.5%)であるが、内因性疾患としては17例(11%)を占め、判断の難しい内因性疾患に対しても現場出動要請が行われている。

 一方、病院間搬送147例では循環器疾患が64例(43.5%)で最も多いが、2番目は外傷で47例(32%)を占める。現場出動および病院間搬送の、この傾向は平成14・15年度と同様の結果である。外傷、循環器疾患および中枢神経疾患の多くは一刻でも早く初期治療を開始し、高度な根本治療へとつなげる必要があることを考慮した場合、ドクターヘリを利用する傷病例として上位を占めているのは納得のいくところである。




 

5:要請別出動地域について

 図5は要請別出動地域を示す。福岡県県南部を中心に半径30q圏内の出動要請が現場および病院間ともに多い傾向は昨年までと同様である。なお佐賀県内からの出動要請も増加してきており、全出動要請件数344件のうち31件(9.3%)を占めるようになった。また、平成16年度に初めて現場要請した地区もあり、今後とも出動要請の広がりを期待したいところである。県外要請としては長崎県壱岐島から3件、大分県日田市から4件の病院間出動出動要請があり出動している。地域の特殊事情や医療圏を考えた場合、ドクターヘリの運航圏内に入れるべきであるが、現時点では行政上の調整がつかないためニーズは潜在しているものの特異例として出動している状況である。




6:現場出動における現場までの飛行距離について

 図6は現場出動の場合の基地ヘリポートから臨時ヘリポート(現場直近に着陸した場合はその地点)までの距離の分布を示す。図4で示したように大部分は30q圏内の距離であり平均距離は25.4qであった。ただし、現場出動においても45km以上の距離の臨時ヘリポートへ飛行した件数が17件(約11%)あった。地域の医療事情にもよるが、半径50q圏内はドクターヘリの運航圏内と考えられる。


7:現場出動における時間分析について

 図7-1,2,3に現場出動における時間分析を示す。図7-1は覚知から要請までの時間、要請から離陸までの時間、要請から現着までの時間、覚知から現着までの時間をヒストグラムとして表した。覚知から5分以内の要請は7件、8分未満は20件あり、これらの多くは救急隊現着前に要請した事例と考えられるが、その割合は約12%である。要請から離陸までの時間5分前後に集中しているが、運航開始時刻前の要請にも可能な限り対応しているため7〜8分要した事例もある。

 要請から現着までの時間は、傷病者発生現場までの距離によるところが大きいが、基地へリポートからの距離が30km前後の地点が多いため平均すれば15分前後となった。ただし、指定された臨時へリポート上空に到着しても散水などを待って着陸したり、山間部の現場などで適当な着陸地点を探すのに時間を要したりして着陸までの時間が延びた事例も散見された。覚知から現着までの平均時間は約30分であるが、現場上空に到着しても着陸までに時間を要し

た事例や救出に時間を要することが予想されたために要請までに時間を要した事例などもあり、60分以上かかった事例を5件認めた。

 図7-2には処置時間(現場直近または臨時へリポートに着陸してから離陸するまでの時間)、要請から搬送先へリポートまでの時間、覚知から搬送先までの時間をヒストグラムで示した。現場出動で傷病者に行う処置は、ドクターヘリ機内より救急車の中の方がスペースを広くとれること、ヘリ収容前に傷病者の診察を行うべきであることから救急車内で処置を行っている。バイタルサインを主に身体所見をとり、場合によって携帯用超音波画像診断装置を使用する。

 主な処置としては酸素投与、気道確保(気管挿管など)、輸液ルート確保および輸液負荷、外出血に対する止血処置、循環作動薬の使用、胸腔ドレーン挿入などである。平均24.4分であるが、気管挿管や胸腔ドレーン挿入などを行った場合は約1時間を要することもある。また、一旦最寄り救急病院に搬送しそこでフライトドクターが病院医師とともに必要な処置を行い、ヘリに収容する場合や、救出に時間を要している場合は臨時へリポートから傷病者発生現場ま

でフライトドクターおよびフライトナースが進出し、救出中から輸液や酸素投与などを行う場合もあり、処置時間としては50分以上を要した事例が11件あった。

 要請から搬送先までの平均時間は47分、覚知から搬送先までの時間が約60分であるが、同

様の理由で長時間かかった事例も散見された。 

 図7-3に現場出動151件における覚知から搬送先までの時間をまとめた。覚知(傷病者発生の消防署への第1報)からドクターヘリ要請までは平均14.8分を要しているが、まだ多くの場合救急隊員が現場へ到着してから傷病者の状態を観察した後に適応判断を行いドクターヘリを要請しているためと考えられる。要請からドクターヘリの離陸まで約5分、飛行時間は約10分で現場に近い臨時へリポートへ着陸している。つまり覚知から臨時へリポート着陸まで30分を要し、ドクターヘリ要請からだと臨時ヘリポート着陸まで15分であった。臨時へリポート着陸から離陸までの時間、つまり処置時間には24.4分を要しており、そこから適切な医療機関を選定して搬送するが搬送先へリポートまで飛行時間は8分であった。この時間分析の結果は、平成15年度の分析と著明な差異はなかった。要請から離陸、離陸から現着までの

時間はこれ以上大幅な短縮は不可能であるが、覚知から要請までの時間にはまだ短縮される余地があると思われ、その時間を短縮することができれば現場出動において現場からの初期治療を開始する時間をさらに早めることになる。












8:ドクターヘリの効果について

 図8-1はドクターヘリの効果推計を示す。ドクターヘリを使用しなかったとして予想した転帰と実際の転帰を比較したものである。ドクターヘリを使用して死亡された傷病者は42例14%)であったが、ドクターヘリを使用しなければ57(19%)が死亡したであろうと推測された。同様に障害を残した傷病者もドクターヘリの使用によって127例(42%)から71(24%)へ減少させることができ、その分軽快となった傷病者を116例(39%)から187例(62%)へ増加させたと考えられた。

 図8-2に重症度と関連づけた転帰と予想転帰(ドクターヘリを使用しなかった場合)を示す。重症度を重症、中等症、軽症と3分類した場合、重症者は47%の140例あり、中等症38%115例、軽症は15%の45例であった。このうち重症の予想転帰は55例が死亡、64例が障害あり、21例が軽快となったが、実際の転帰は41例が死亡、31例が障害あり、68例が軽快となった。つまりドクターヘリによって重症の傷病者の14例の死亡を防ぎ、後遺障害を残した傷病者を23例減少させたことになる。同様に中軽症の160例の傷病者においても、ドクターヘリの効果は認められ、特に後遺障害を残す傷病者の減少に寄与したと考えられた。







9:現場出動における重症度と緊急度からの考察

 図9-1、9-2は現場出動において重症度・緊急度からその出動要請が適切であったかどうかを表す。緊急度および重症度ともにおおよそ3分の1ずつの割合になっていた。緊急度および重症度から図9-2に示すように緊急度3かつ中等症以下または軽症かつ緊急度2以下の部分をオーバートリアージと定義すれば、オーバートリアージの割合は31.4%となった。これは、平成15年度とほぼ同様の結果で、アンダートリアージをなくすためにドクターヘリ運航開始当初からオーバートリアージ恐れず積極的に要請を行うよう呼びかけてきた結果と考えられる。現在はまだ要請件数が多すぎて問題となるような状況ではないため、当面オーバートリアージは問題なしとして受け入れる方針である。







 以上、平成16年度の運航実績と分析について報告した。


 

---
  平成15年度 next
next平成17年度 
---
ドクターヘリトップへ

ドクターヘリとは?ドクターヘリの特徴防災・消防ヘリとの違い出動〜患者搬送のフロー活動報告(統計資料)
搬送事例ドクターヘリ性能・仕様運行圏域離着陸場について臨時ヘリポート一覧患者搬送医療機関
出動基準ガイドライン運行調整委員会設置ドクタ−ヘリ症例検討会設置ドクターヘリ関連資料(PDF)お問い合せ
©2003 Kurume-University Hospital. All rights reserved.